英字新聞なるほどHeadline


The Japan Times, December 9, 2023
Economic contraction clouds path ahead for BOJ
景気後退日銀方針暗雲

contraction: 収縮、縮小; 陣痛 economic contractionで景気後退、経済の縮小。
clouds: cloudは雲、不安の元、疑念などの意味の名詞だが、ここでは動詞として使われ、三人称単数現在を表わすsがついたもの。意味は、曇らせる、暗い影を落とす、悪化させる、損なう。
path: 取るべき進路、方向、方針。
BOJ: Bank of Japan, 日本銀行

 日本経済はコロナ禍のピーク時以来、最も早いペースで縮小したようだ。この結果を受け、世界中で最後のマイナス金利体制(negative rate regime) の廃止に近づいているとの憶測が高まる中、日銀の今後の政策を複雑化させている。
 内閣府が金曜日(12/8)に発表した改定値によると、9月までの3ヶ月のGDPは前期比年率換算で2.9%のマイナスとなり、2020年春以降で最大の落込みとなった。主な要因は家計部門(private sector)の支出の抑制が大きいようだ。

The New York Times, December 7, 2023
Oxford’s 2023 Word of the Year is … ‘rizz
オックスフォードの2023年 今年のワードは … rizz(リズ)

 オックスフォード大学出版が毎年は発表している ‘今年のワード’ の2023年版には rizz が選ばれた。Z世代を中心に流行り出したスラングとされるが、語源は charisma で、中間部分の ‘ris’ から派生したワードとされる。日本語ではカリマと発音するが、英語ではカリマと、ㇲがズと濁る音になるので注意したい。俳優の Tom Holland が今年6月にあるインタビューでこのワードを使って以降急速に広まったようだ。’rizz’ が意味するところは、”style, charm or attractiveness” または、”the ability to attract a romantic or sexual partner” と説明している。

 記事によれば、今年に流行った32,000以上の候補となるワードから rizz が栄えある栄冠を勝ち取ったが最終候補まで残ったのが、Swiftie(テイラースウィフトの熱狂的ファン)、situationship(situationとrelationshipを合わせた語で、友達以上恋人未満)、de-influencing(買わない方がよい商品を紹介すること)、prompt(AI プログラムに出す指示)等、でSNSの普及に伴い若い世代を中心に多くの造語が一気に広まる傾向が見て取れる。

The Japan Times, August 31, 2023
Sogo & Seibu union to stage rare strike
そごう・西武の労働組合がめったにないストライキを決行

union: labor union=労働組合
stage rare strike: stage a strike でストライキを計画/決行する、という意味。ヘッドラインでは冠詞の a が省略されており、本来stage a rare strike。 stage は名詞で舞台、演壇、段階の意味で使うが、動詞で、劇を上演する、以外にも、(劇的に)~を計画する/実行する、の意味がある。

 日本では労働組合がストライキを実施することは滅多にないことだが、百貨店では60年以上行われなかったとのことで、そのこと自体も驚きだ。本文では、ストライキを行う表現として、stage 以外に、go on strike, launch a strike, plan to strike が使われている。

The Japan Times, May 8, 2023
Rising Yezo deer population wreaks havoc in Hokkaido
増え続けるエゾシカ(の個体数)が北海道で大きな被害をもたらす
population: 動植物の個体数、人口
wreak havoc: wreakは被害などをもたらす、havocは災害などによる広範囲に及ぶ損害や混乱

 明治時代には絶滅の危機にあったエゾシカ(Yezo deer)が1990年代に急増し、北海道庁は2010年頃から淘汰(cull)の強化に乗り出した。ところが鹿肉やツノ以外の部位や内臓の不法投棄(illegal dumping)の問題が顕在化し、猟師は政府の支援不足に不満を抱いている。エゾシカの個体数は2011年に77万頭ほどになりピークに達したとみられその数は下降していったが最近は増加傾向にあるというのだ。
 2021年に北海道内の農林水産業が被った野生動物による損害額は54.5億円に上り、そのうち鹿による被害額は全体の80%以上で44.8億円となっている。日本全体の鹿による農業分野の損害額に占める北海道の割合は70%以上とのことで、2番目に被害の大きい岩手県で2.1億円で北海道の1/20以下なので如何に北海道における鹿による損失が大きいかが分かる。

The Japan Times, April 24, 2023
India looks to cash in on its demographic dividend
インドが人口ボーナスチャンスを活かそうと計画
look to + V: Vしようと計画する
cash in on ~: ~のチャンスを活かす、を利用する。
demographic dividend: 人口ボーナス

 Demographicは人口統計学の、人口動勢の、dividendは配当を意味することから、demographic dividend は人口ボーナスのこと。端的には、労働力人口(15-64歳)の増加により生産力と購買力が高まることにより経済成長を押し上げる効果があることを意味する。
最近の統計データによるとインドの人口は14.28億人となり中国の14.25億人を超えた模様。ただ経済規模では中国にはるかに及ばない。Bloombergのエコノミストによると、人口ボーナスのチャンスを十分に活かすためには4項目の広範な発展が必要としている。すなわち、urbanization(都市化)、infrastructure(インフラ)、human development(人材開発)、manufacturing(製造業)の4つだ。この4つの柱を数年ではなく、人口が増え続ける数十年間続ける必要があるとされる。

 

The New York Times, April 19, 2023
Russia peril pulls NATO out of long hibernation
ロシアによる差し迫った危機によってNATOが長い冬眠から目覚めた
peril: 差し迫った危機
pull A out of hibernation: hibernationは冬眠なので、Aを冬眠から目覚めさせる。

 The New York TimesはThe Japan Times に比べると記事が2ページにまたがる場合が多い。Japan Times の場合はページがまたがっても同じヘッドラインを充てるケースが多いが New York Times は重複を避けて別のタイトルを付けるのが一般的だ。本記事の2ページ目のヘッドラインは、Russia threat rouses NATO from hibernation となっており、peril を threat に、pulls ~ out of を rouses に置き換えて同じ意味のヘッドラインにしている。ヘッドラインを見てピンと来ない時は次ページの見出しを読めば意味が分かることもあるので英語学習にも役立つことが多い。
 NATOはNorth Atlantic Treaty Organization の略称で北大西洋条約機構のことだが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、1949年に当時12ヶ国で設立されたNATOが、これまで冬眠していたと揶揄されてきたが一気に起き出して活発に動き始めた。4月4日にフィンランドを31番目の加盟国として承認し、ロシアとの境界線に軍備を配置するなど慌ただしさを増している。

The New York Times, April 12, 2023
R.I.P. W.F.H.? Not so fast.
在宅勤務サヨナラ? ちょっと待って。

R.I.P. : rest in peace の略語で、安らかに眠れ、ご冥福を祈る。
W.F.H.: work from home の略語で、在宅勤務。

 3年前にCovid-19によるパンデミックが始まって一気に普及したのがW.F.H. と呼ばれる在宅勤務だ。米国では5/11に公式に公衆衛生上の緊急事態( public health  emergency ) の解除が見込まれているが、それに伴い企業経営者は、従業員を会社に戻そう(R.T.O. : return to office)とする動きが活発化している。
 コロナ禍のピーク時からは下がったとはいえ安定的にW.F.H.は30%近くと、パンデミック前の一けた台からは飛躍的に伸びた。W.F.H.はすでにH.T.S. (here to stay: 定着している、すっかり生活に浸透している)となっており、専門家によると、現在のレベルからはやや下がって25%くらいで推移していくとの見解だ。

The Japan Times, April 3, 2023
1.46M people in Japan living as social recluses
日本では146万人が引きこもり生活

social recluse: social(社会) + recluse(一人で暮らす人、世捨て人)から、引きこもり。

 Hikikomoriはすでに英単語として認知されてしまっているが、social recluse、shut-in、social retreat、social withdrawal も引きこもりを意味する言葉となっている。一時期NEET(Not in Education, Employment, or Training)という表現をよく目にしていたが、NEETは対象が15-34歳なので多くのNEETが引きこもりに含まれるだろう。

 内閣府(cabinet office)が実施した調査で生産年齢人口(working-age people, 15-64歳)の約2%にあたる146万人が引きこもりであることが分かった。引きこもりの約20%がコロナによるパンデミックが原因と回答し、内閣府は誰もが引きこもりになるリスクがあるとして警鐘を鳴らした。

The Japan Times, March 23, 2023
Kishida aims to burnish diplomatic credentials
岸田首相、外交実績アピールする狙い

burnish: 磨いて輝かせる、光らせる、(評判などを)高める
credential: 信任状、資格、実績

 burnish はあまり馴染みのない単語だが、辞書には to work hard in order to improve something とある。岸田首相は突然のウクライナのゼレンスキー大統領訪問で世間を驚かせたが、5月に地元の広島で開催されるG7サミットの議長国として何としても事前に訪問しておきたかった。帰国後に待っていたのは、手土産に持参した地元の必勝しゃもじ (Victory rice scoop) のお土産としての適性を国会で問われる悲劇だった。同日には、モスクワで中ロのリーダーが会っており、停戦のための条件を模索していたようだ。

 G7の中では、日本の岸田首相が最後のウクライナ訪問となったとはいえ、アジアでは唯一の訪問国であり、またロシアを支援する中国を遠回しに批判する(obliquely criticize)ことで外交実績(diplomatic chops) としたい想いがにじむ。

The New York Times, March 17, 2023
U.K. retirees aren’t eager to get back to the grind
英国の退職者退屈な仕事に戻りたがらない

retiree: (定年)退職者、年齢が理由で退職した人。
grind: 単調で退屈な仕事。動詞では、すりつぶす、という意味。

 仕事を辞めることを意味する英語は、retire 以外に、resign、leave、quit などがある。resign は辞職を意味するフォーマルな表現として使われる。leave は辞職する、や、home leave(一時帰国/帰省)、sick leave(病気休暇)、maternity leave(出産休暇) など一時的に仕事を離れる場合にも使われる。quit は、任期途中で辞職する感じが出る。

 英国では、労働力不足が経済成長の足かせとなっており、コロナ禍で退職したり、休暇後に職を離れた人に対して仕事に戻るよう政府が呼びかけている。最近の統計によると2020年2月時点と比較し、労働力人口に占める失業者数が49万人多く、そのおよそ2/3 が50歳以上となっている。英国の年金システムでは、私的年金が55歳から支給されるものがあり、専門職で高収入だった人で金銭的に心配のない人の多くはコロナ前の仕事にはもう戻りたくないと考えているようだ。

The Japan Times, March 16, 2023
Squaring the circle of same-sex marriage in Japan
日本では同性婚の実現は無駄な努力

square the circle: squareは正方形でcircleは円のこと。’円と同じ面積の正方形を求める’ という幾何学的に不可能な問題に由来する表現で、不可能に見える問題を解決しようとする、無駄な努力をする、ことを表わす表現。

 今や日本はG7の中では唯一、同性婚(same-sex marriage/marriage equality)を認めていない国となっている。岸田首相は、5月に地元広島でG7サミットを控えており、その遅れを挽回べく同性婚の議論に引き込まれている。同性婚の成立を困難にしているのは、日本国憲法第24条第1項の存在だ。すなわち、’婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない( Marriage shall be based only on the mutual consent of both sexes and it shall be maintained through mutual cooperation with the equal rights of husband and wife as a base)’ と規定されているからだ。

 婚姻に関しては憲法上ではLGBTQを想定しておらず、同性婚を認めるのは憲法改正が必要との認識が一般的であろう。これまでの憲法改正議論では戦争放棄を規定した第9条にのみ焦点が当たっていたが、これを機会に103条ある憲法を国民の責務として精査し直し、改正すべきは改正する時が来ているのではないだろうか。

The Japan Times, March 11, 2023
Government to scale back virus support from May 8
政府は5月8日から新型コロナウィルスに対する支援を縮小

scale back: 規模を縮小する、機能を削る、減らす。

 scale back は、予算や計画などを縮小したり削ったりする場合によく使われます。back がつくので元の小さな規模に戻す、と勘違いしそうですが、元に戻す意味合いはないようです。scale downも同様の意味です。

 政府は、新型コロナウィルスが感染症法(the Quarantine Law)上の5類となる5月8日からの医療体制を公表した。検査費用や治療費は原則自己負担となり、季節性インフルエンザ(seasonal flu)と同様の扱いになる。コロナ患者を受け入れていた医療機関の数は42,600程だったが、5/8 以降は、コロナ以前にインフルエンザの診療実績があった64千か所の医療機関でコロナ患者の対応が可能となるようだ。

 

 

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